富士経済は,商用化に向けた取り組みが活発化しているフレキシブル結晶シリコン,フレキシブルGaAs,ペロブスカイト,色素増感,有機薄膜といった新型・次世代太陽電池市場を調査し,その結果を「新型・次世代太陽電池の開発動向と市場の将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。
この調査では新型・次世代太陽電池を商用化している企業,あるいは商用化に目途をつけた国内および海外企業21社を対象に研究開発の現状と開発ロードマップ,用途開拓の動向を整理分析し,新型・次世代太陽電池および主要構成部材の市場の方向性を示した。
それによると,2017年の既存太陽電池(結晶シリコン(単結晶,多結晶),薄膜シリコン,CI(G)S,CdTe)市場は5兆7,830億円、それに対して新型・次世代太陽電池市場は3億円だった。既存太陽電池との置き換わりが実現すれば,巨大な市場を形成する可能性があるとする。その結果,2030年の新型・次世代太陽電池市場は2,433億円と,2017年比811.0倍)を予測する。
すでに商用化されている色素増感太陽電池(DSC)と有機薄膜太陽電池(OPV)は,既存太陽電池と同様に太陽光の利用に加え,室内光の利用による用途開拓が進んでいる。しかし,既存太陽電池は製造コスト,供給体制,技術水準で大きく先行しており,販売価格は数十円/W台と新型・次世代太陽電池よりも大幅に安価となっている。
そのため,現状の価格競争力では,早急に新型・次世代太陽電池が主流化する可能性は低く,まずは既存太陽電池と競合しないIoT機器・無線センサーの電源や,ZEB/ZEHの実現に寄与するBIPV(建材一体型太陽電池)といった用途から市場形成が進んでいくと予想する。