立教大学が開発に協力した小惑星探査機「はやぶさ2」搭載のカメラが,6月27日に目的地である小惑星に到着し,高精細な画像を取得した(ニュースリリース)。現在,小惑星から20km程度の距離に到着しており,これから数ヵ月にわたって小惑星の観測を行ない,試料採取地点を決定する。
「はやぶさ2」は、小惑星「リュウグウ」を探査し,サンプルを持ち帰ることを目的としている。同大の研究グループが開発に携わった「光学航法カメラ」は,含水鉱物や有機物の分布を観測するもので,このデータを基にして着陸予定地点が決定される予定。また,「はやぶさ2」のナビゲーションを行なうことも目的としており,無事に到着させることができた。
研究グループは,2011年12月に「はやぶさ2」プロジェクトに参加。2012年1月から光学航法カメラの性能試験を開始し,検討・実験を重ねてきた。2014年3月から4月には,宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスで最終性能試験が行なわれ,そこでは研究グループが中心に開発した試験用装置が使われた。
これらの試験で収集されたデータが,今回小惑星を撮影した画像データの解析に利用されている。また,小惑星の周辺に,50cm以上の衛星が存在しないことが確認されており,研究グループはそのデータ解析にも参加している。
「リュウグウ」には,構成物質に含水鉱物や有機物が含まれていると考えられている。「はやぶさ2」では光学航法カメラの分光観測によって小惑星上の含水鉱物分布を捉え,着地点を決定し,試料を採取する予定。地球の水の起源や生命の原材料となった有機物の起源を探り,生命誕生の謎に迫ることを目指している。