産総研ら,アモルファス材料の局所構造をモデル化

産業技術総合研究所(産総研)は,東北大学とともに,アモルファス物質の局所構造をモデル化する技術を開発し,アモルファス相変化記録材料の局所構造の特徴を明らかにした(ニュースリリース)。

Ge2Sb2Te5に代表される相変化記録材料は光ディスクの記録層として幅広く利用されている。現在,相変化記録材料の記録・消去速度を向上させることで,大容量データの迅速な記録・消去が可能となるため,その記録メカニズムの解明が求められている。また,アモルファスと結晶の反射率の違いを理解するため,それぞれの構造や電子状態を探るための研究も進められている。

今回,東北大が開発した極微細電子線を使った手法に特化した構造モデル化手法である局所リバースモンテカルロ法の開発を行なった。開発した手法では,極微細な電子線を使用して観察領域を狭め,対象とする原子数をわずか数十原子にまで減らし,従来より信頼性の高いモデルを作製できる。アモルファスの局所からの回折を基にした構造のモデル化は類を見ないものであり,相変化記録材料に応用した。

Ge2Sb2Te5のアモルファスに対し,開発した局所リバースモンテカルロ法により構造をモデル化したところ,結晶とアモルファスの構造の違いは,岩塩型構造のひずみ量の違いによって特徴づけられることがわかった。

岩塩型構造の結晶では各原子の周辺に八面体配位の局所構造を作っているが,アモルファスでは岩塩型構造の結晶には含まれない四面体配位が主な局所構造であり,この構造の違いにより反射率が異なるという説がある。一方で,四面体を考えなくとも,八面体のひずみで反射率の違いを説明できるとの説もあり,議論となっていた。

今回の結果は,後者の説が妥当であることを直接的に示したことになる。今回開発したアモルファス材料の局所構造をモデル化する手法は,基本的にアモルファス構造であればどのような材料にも適用できる。そのため,アモルファス材料を用いた太陽電池やディスプレーなどの高性能化に期待できるとしている。

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