矢野経済研究所では,量子ドットディスプレー・ディスプレー関連部材世界市場の調査を実施した(ニュースリリース)。
量子ドット(QD)ディスプレー部材には,QDを活用したディスプレー用の部材であるQD材料(QD粒子とバインダーレジンを配合した溶液),QDシート,QDシート用バリアフィルム,QDカラーフィルター(LCD用カラーフィルターの代わりにQDを取り入れ色変換画素として用いるもの,QD-CFとも呼ぶ),QLED(QDをエレクトロルミネッセンスとして用いるもの)等が含まれる。
この調査における量子ドットディスプレー部材世界市場とは,そのうちQD粒子の世界出荷数量(単位:t)をメーカー出荷数量ベースで算出した。
それによると,量子ドット(QD)ディスプレーは,これまで複数のセットメーカーやディスプレイメーカーが開発を進めてきたものの,実際にQDディスプレーを搭載したTVの量産に踏み切ったのは,韓国の大手セットメーカーと中国系セットメーカーのみだった。
QDディスプレーがハイエンド機種のTVでの採用にとどまったこと,市場でQDディスプレーを搭載したTVの販売が落ち込んだことなどから,2017年のQDディスプレー世界市場は前年比58.5%の200万枚(メーカー出荷数量ベース)と大幅に縮小する見込みだという。
量子ドット(QD)ディスプレーは,LCDバックライトにQD粒子をバインダーレジンに分散させてシート状にしたQDシートを搭載した構造がメインであり,LCDにQDシートを加えることで,少ないエネルギー消費量で高い色再現性と輝度を実現する。
QDディスプレーを搭載したTVの販売不振に加え,材料価格が高価であったことなどから,2017年のディスプレー用QD粒子世界出荷数量は前年比61.1%の1.9t(メーカー出荷数量ベース)を見込む。
2018年には韓国と中国系セットメーカーのほかに,複数のセットメーカーやディスプレーメーカーがQDディスプレーを搭載したTVやモニターの量産を開始する予定であること,TVの大画面化に伴うQD粒子の使用量増加などが期待され,2018年のディスプレー用QD粒子世界出荷数量は前年比202.6%の3.85t(メーカー出荷数量ベース)と大幅に拡大すると予測する。