阪大ら,ゆらぎシンクロ型演出照明を開発

大阪大学,兵庫県立大学,ゼロバイゼロ社,博報堂は共同研究で,世界初のゆらぎシンクロ型演出照明を開発した(ニュースリリース)。

演出型照明は,特に欧米において,日常的に癒し空間を提供する道具であり,昔からキャンドルライトが使われてきた。近年では,技術の発達に伴い炎を使わないキャンドルとして,アート効果の高いLED照明が普及し始めており,米国の市場規模は年間あたり数千億円といわれている。

今回,研究グループは,大阪大学発の技術である「1/fゆらぎ」・「シンクロ型センシング」機能を搭載した協調して発光する演出照明のコンセプトモデルを発表した。この照明の開発は,自然調和・人親和性の高いエレクトロニクス技術を追求する目的で大学と産業がタッグを組みスタートしたもの。光のゆらぎと、お互いの光が同期し自然に調和する技術を導入することで人工的な光でもキャンドルのような自然なゆらめきが得られる。

生体システムは,個々の振動子が集団で協調しあい多様なリズムを生み出している。生体リズムの特徴は,“ゆらぎを持ったリズム”であり,外界からのリズムと歩調を合わせる“シンクロ機能”を有していることにある。研究グループは,生体型情報処理機構のエッセンスはこの“ゆらぎ”と“リズム”であると考え研究を行なってきた。

これまでも,生体リズム現象を非線形数学・物理によって定式化しデジタルプロセッサ上にプログラム化することで「光のゆらめき」は再現可能であったが,多数の振動子(振動する細胞)の組み合わせ数により実時間情報処理に伴う計算負荷がかかることや,コスト面で実用化は困難であった。

この照明に使われている特許技術は,生体型リズムジェネレータがもつ,“ゆらぎの心地よさ”・“シンクロ型センシング”によって自然性を付加し,環境状況を能動的取り込んでいく技術で,シンクロ振動子の組み合わせ数が膨大になってもシステム・機器開発ができるという大きな優位性をもっている。

今回,実用化しようとする製品は,簡便に思い通りの自遊空間に耽る楽しみを提供するという。また,世界に先駆け,シンクロ型センシングによる能動的環境適応・人調和型照明の標準モデルの構築は,ライフワークの充実性を高める社会イノベーションを引き起こすものだとしている。

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