富士キメラ総研は,次世代テクノロジーによって需要が押し上げられ,かつ新規開発によりニーズが創出され成長が期待できるエレクトロニクス製品向け先端材料市場を調査し,その結果を「2018年 エレクトロニクス先端材料の現状と将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。その中で,光関連製品であるOLED用封止材とフォトレジストについて注目市場として纏めた。
OLED照明,OLEDディスプレイなどOLEDデバイスに使用される有機系封止材には,シート状とペースト状の製品がある。中小型AMOLEDやPMOLED,リジッド照明にはペーストが採用され,大型AMOLEDやフレキシブル照明にはシートが採用される。
OLEDの需要増加により市場は拡大しており,特に2017年はApple「iPhone X」でのフレキシブルOLEDの採用もありペーストが前年比3.1倍に急拡大し,全体としても2.6倍の259億円となった。
今後もTV向け大型AMOLEDの量産が進められることや,中小型AMOLEDの新規の設備投資計画もあることから,OLED用封止材の市場拡大は続き,2021年には548億円を予測する。
フォトレジストは,半導体素子などにパターンを形成するフォトリソグラフィーに利用される感光性材料のg線/i線レジスト,KrFレジスト,ArFレジスト,EUVレジストを対象として調査した。
数量ベースで6割以上を占めるg線/i線は,センサーやパワーデバイスなどでの採用が多く,IoTの進展やHV・EVの普及などで需要増加が期待される。g線/i線からのシフトが落ち着ついたKrFは3D-NANDで厚膜レジストとして採用されており,デバイスの需要増加と積層数増加により拡大している。
金額ベースで最も規模が大きいArFは微細化ニーズ増加にともなうマルチパターニングによりリソグラフィー工程数の増加で使用量が増えており,拡大を予想する。さらなる微細化に対応したEUVは2018年に量産化が期待されるが技術的な課題もあり,市場は変わらずArFがけん引していくと予想している。
市場全体では,半導体デバイスの需要増加,微細化の進行によるリソグラフィー工程数の増加によって各レジストの市場は拡大が予想されるとし,2021年には1,500億円を予測する。