名大ら,最高分解能の放射線画像化装置を開発

名古屋大学と東北大学は共同で,世界最高の空間分解能を有する放射線画像化装置の開発に成功し、物質中の放射線の動きをリアルタイムで観察可能にした(ニュースリリース)。

放射線画像化装置は,放射線医学,分子イメージング,放射性物質の汚染検査,あるいは高エネルギー物理実験などの分野で広く利用されている。しかし,これまで,高い空間分解能を有し,リアルタイムで画像化可能な装置の開発は困難だった。シンチレータと光センサーを組み合わせた方法は有望だが,得られる空間分解能の限界があった。

これまで,薄いシンチレータ板を位置有感型光センサーと組み合わせて,空間分解能を高める努力が行なわれてきた。しかし,シンチレータから出る光がシンチレータ内部で広がる上に,シンチレータから発光を効率良く光検出器に導くことが困難なことから,得られる空間分解能は,200μm程度が限界で,さらなる高分解能な画像化装置が切望されていた。

研究グループは,共晶体を用いて1μmの細い光ファイバー状のシンチレータを開発し,それを応用することで,これまで課題となっていた点を解決でき,超高分解能画像化装置が実現できるとの着想を得たため,共同で装置の開発に着手するに至った。

開発した超高分解能画像化装置は,放射線によるシンチレータの微弱な発光を有効に利用するために高感度CCDカメラを近接して配置し,それにより高感度化を実現した。また,光ファイバー状のシンチレータの発光をテーパー型の光ファイバーを用いて拡大することで,25μmの高分解能を実現した。

開発した装置は,アルファ線,ベータ線,ガンマ線など放射線の種類によるシンチレータ中での動きの違いをリアルタイムで観察可能にした。アルファ線は動く距離が短いため,すべて点状に撮像された。ベータ線は長い距離走行するため,所々に高い発光を有する線状に画像化されたものが多く観察された。また,ガンマ線は電子に変換され比較的短い距離走行のため,点の周りに少し広がった形に画像化されるものが多くあった。このように鮮明なシンチレータ中における放射線の発光画像をリアルタイムで得られたのは世界で初めての成果。

研究グループは,今後,空間分解能をさらに向上させる予定。空間分解能のさらなる向上により,細胞に取り込まれた放射性核種から放出される放射線のリアルタ
イムでの画像化などが可能になり,分子イメージングやラジオアイソトープ内用療法の研究における組織中や細胞中の放射性核種分布をリアルタイムで画像化したいという要求に応えていくことができる。また,メーカーと協力し実用化を進めていく予定。

その他関連ニュース

  • NTTのVAD SM光ファイバ,未来技術遺産に 2021年09月14日
  • OKI,光ファイバーセンサー製品がNETISに登録 2021年08月30日
  • 古河電工,6912心光ケーブルと多心融着接続機開発 2021年08月04日
  • KDDIら,4コアファイバで7,200kmリアルタイム伝送 2021年06月25日
  • 名大ら,陽子線「ミニビーム」を高分解能で撮像 2021年05月25日
  • 名大ら,光でミュオンビームの分布を計測 2020年12月01日
  • 古河電工ら,海底向け4コアファイバで12000km伝送 2020年11月30日
  • NTT,光ファイバによる感染予防技術を開発 2020年11月16日