古河機械金属と古河電気工業(古河電工)は,共同で純銅の溶接欠陥を大幅に抑制する新たなレーザー溶接技術の確立に成功した(ニュースリリース)。
近年の自動車のEV化に伴い,自動車用モーターやインバーター,電池などへの新技術適用の期待が高まっている。自動車部品の設計自由度を高める手段として,ファイバーレーザーによる溶接が有力とされているが,純銅においては熱伝導率の高さと光吸収率の低さからスパッタやブローホールなどの溶接欠陥が発生しやすく,課題となっていた。
古河電工は,古河機械金属の100%子会社である古河電子と共同で,純銅の溶接時に発生する欠陥を大幅に抑制するレーザー溶接技術の確立に成功した。古河電工製のファイバーレーザーが得意とする「高エネルギー密度ビーム」に,古河電子が開発した「ビームモード制御技術」を融合させることで,純銅の溶接に際して最適なビームモードを形成し,溶接時の欠陥量(スパッタやブローホール)を従来比で95%以上削減した。
今回の新技術確立により,自動車用モーターやインバーター用パワー半導体などの溶接,検査工程を効率化し,製造コストの大幅な削減とさらなる高性能化と小型化にも大きく貢献するという。この技術に関しては,古河電工の千葉事業所内アプリケーションラボにて導入を検討できるとしている。