矢野経済研究所は,ディスプレイ用AMOLEDパネルメーカー,素子材料(発光材料,共通材料)メーカー,封止材メーカー,静電容量方式のタッチパネルメーカー,偏光板メーカー,基材メーカー等を対象として,AMOLEDパネル及びその主要部材の世界市場の調査を実施した(ニュースリリース)。
それによると,2016年は,従来ハイエンドスマートフォン向けを中心に搭載されていたAMOLEDパネルがミドルエンド品まで採用領域を広げたこと,当時中小型AMOLEDパネルを唯一量産していたサムスンディスプレイ(以下SDC)がOPPO ElectronicやVivo等の中国系スマートフォンメーカーにもAMOLEDパネルを販売開始したことから,同年のAMOLEDパネル世界市場は前年比135.9%の4億2,200万枚と4億枚を超える規模に成長した。
2017年には「Galaxyシリーズ」に加え,2017年11月に発売されたAppleの「iPhone Ⅹ(テン)」がAMOLEDパネルを搭載したことで,同年のスマートフォン向けAMOLEDパネル市場はさらに拡大することが見込まれるという。AppleにおけるAMOLEDパネル採用による量的拡大に加え,Appleを追従し同じ部品・デバイスを求める中国向けも拡大することが予測されるとする。
また,SDCに加えLGディスプレイ(以下LGD)もスマートフォン向けAMOLEDパネルの量産を再開したこと,スマートフォン以外にスマートウォッチ,2in1-PCなどの用途向けにも需要が伸びていることなどから,2018年のAMOLEDパネル世界市場は再び急成長し,前年比134.1%の6億3,550万枚まで拡大すると予測した。
AMOLEDパネルの需要を見据え,BOE Technology Group(BOE),ジャパンディスプレイ,シャープ,China Star Optoelectronics Technology(CSOT),Tianma Micro‐electronics(Tianma) などのパネルメーカーが同パネルの生産開始に向けて設備投資を積極的に行なっており,2019年~2020年からこうした新規パネルメーカーによるAMOLEDパネルの生産が本格化するとみる。
スマートフォンを中心とした中小型AMOLEDパネルの採用拡大,OLED-TV市場の立ち上がりに伴う大型AMOLEDパネルの需要増大,新規パネルメーカーの参入による市場環境の変化等の背景から,2022年のAMOLEDパネル世界市場は,2016年の3倍以上の15億3,660万枚に拡大すると予測する。