岡山大ら,超伝導発現直前に電荷密度波秩序を発見

岡山大学,中国科学院物理研究所,米国立強磁場研究の研究グループは,ビスマス系銅酸化物高温超伝導体Bi2Sr2-xLaxCuO6に強磁場を加え,核磁気共鳴(NMR)法を用いて,高温超伝導が発現する背景を系統的かつ詳細に調べた。その結果,超伝導発現直前に新たに「電荷密度波秩序」を発見した(ニュースリリース)。

電子は「スピン」と「電荷」という二大素性を持つ。高温超伝導は電子のスピンが関与する反強磁性秩序状態が抑制されてから発現するため,これまでの研究はスピンの役割の解明に集中していた。

研究グループは,今回新たに電荷の役割を発見した。すなわち,超伝導発現し始めるところでは,スピン秩序に取って代わって電荷秩序が現れることを突き止めた。電荷秩序の臨界温度はスピン秩序温度の連続的な延伸であり,キャリア濃度の増加とともに減少する。

この発見は,これまで信じられてきた高温超伝導体の電子相図に新たな情報を書き加えるもので,今後の高温超伝導現象の理解と,より高い転移温度をもつ超伝導体の開発に進展をもたらすものだという。

今後,研究成果を高温超伝導体のモデルとして,理論的アプローチからの高温超伝導現象への理解が進むことが期待される。さらに,実験的アプローチと協業が進むことで,高温超伝導発現メカニズム解明に向けて新たな発展がもたらされるとしている。

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