大阪大学と九州大学の研究グループは,金属酸化物ナノワイヤをVLS法により合成する際の温度を下げる手法を開発した(ニュースリリース)。
金属酸化物ナノワイヤは太陽電池,リチウムイオンバッテリー,スーパーキャパシタ,不揮発性メモリ,触媒など,様々な用途への応用が期待されている。合成位置やサイズを制御し,かつ高品質なナノワイヤの合成法の確立が求められている。
VLS法は,様々な機能性無機材料の良質な単結晶を合成することを可能にする。また,合成時の核となる金属ナノ粒子の位置とサイズを制御することで,ナノワイヤの成長位置と直径を制御することもできる。
このような優れた特長は,水熱合成などの他のナノワイヤ合成法では得難い。しかしながら,これまで,VLS法により金属酸化物ナノワイヤを合成するには,600~1000℃の高温が必要だった。熱的に不安定な基板上にナノワイヤを合成するために,合成温度の低下が求められていた。
今回研究グループは,金属酸化物ナノワイヤのVLS法による合成において,原料の供給レートと合成温度を系統的に変えたときの生成物を調べることで,金属酸化物ナノワイヤの低温合成条件を発見し,金属酸化物ナノワイヤを400℃以下の低温で合成することに成功した。
この研究成果により,金属酸化物ナノワイヤをVLS法により低温合成することが可能になり,熱的に不安定な基板上にも,高品質な金属酸化物ナノワイヤを合成可能になった。今後,太陽電池,リチウムイオンバッテリー,触媒など,様々な用途への応用が期待されるとしている。