都立大ら,安定/反応性を両立した金ナノ粒子を開発

東京都立大学,東京大学,物質・材料研究機構は,金属酸化物ナノクラスターで保護することにより,高い安定性と触媒活性を両立した金ナノ粒子の開発に成功した(ニュースリリース)。

金は安定で反応性に乏しい金属とされてきたが,サイズを小さくすることで優れた触媒作用を示す。しかし,小さな金ナノ粒子は溶液中で集合しやすいため,高い安定性と反応性を両立できる技術の開発が求められている。

研究グループは,有機溶媒中で金属酸化物ナノクラスターを保護剤として用いることで,優れた触媒活性を示す3nm程度の小さな金ナノ粒子を合成し,溶液中で触媒反応を行なう条件においても安定に保持できる技術を開発した。

この金ナノ粒子の合成には,水とトルエンを混ざらない溶媒として用いる2相系システムを用いた。金イオンと金属酸化物ナノクラスターを水に溶かした後,相間移動剤(テトラオクチルアンモニウム)を加えてこれらをトルエン中に移動させた。

このトルエン溶液に還元剤を加えることで,金属酸化物ナノクラスターで保護された金ナノ粒子を合成することに成功した。合成した金ナノ粒子の電子顕微鏡観察では,金属酸化物ナノクラスターに囲まれた小さな金ナノ粒子(直径約3nm)が合成できたことが分かった。

この金ナノ粒子は,溶液中で1年経過しても大きさが変わらず安定であることが特長。さらに,塩基の添加や加熱などの触媒反応を行なう条件でも安定している。

この研究で開発した金ナノ粒子は,空気中に豊富に存在する酸素を酸化剤とするアルコールの酸化反応に高い触媒活性を示し,90%以上の高い収率でアルデヒドを生成した。さらに,この金ナノ粒子触媒は,アルコール以外にもさまざまな有機化合物の酸化反応を高い効率と選択性で進行させることができる。

これらの結果から,この研究で開発した金属酸化物ナノクラスターで保護された金ナノ粒子は,高い安定性と触媒活性をあわせ持つことが明らかになった。

研究グループは,この成果は,金ナノ粒子を利用した環境に優しい化学反応プロセスの開発,資源循環やエネルギー変換を実現する触媒,センサー,エレクトロニクスなど幅広い応用が期待されるとしている。

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