小糸製作所は,東京モーターショーにてより細かな制御が可能なADB(配光可変ヘッドランプ)を参考出品する。
ADBはハイビーム点灯時に,対向車や先行車にライトが直接当たらないように自動的に光の当たる部分を制御するシステムで,現在主に2つの方式が採用されている。一つはメカニカル方式でカメラで対向車や先行車を検出するとシャッターが動作して光線の上方をカットする。この方式では部分的な光のカットができないため,動作中は目的物以外も遮光されてしまうという問題がある。
もう一つがアクティブマトリックス方式(アレー方式)で,これはアレー状のLED光源を用い,LEDをセグメント単位でコントロールすることで,遮光が必要な部分のLEDの照射をオフにする。この方式は部分的な遮光が可能な一方,原理的に遮光エリアの細かさはLEDのセグメント数に依存するという問題がある。ちなみに同社がレクサスのLSに供給するADBヘッドランプのLEDのセグメント数はロービームが8,ハイビームが16となっている。
今回同社は,LEDのセグメント数によらず,より細かい遮光制御を可能とする「ブレードスキャン方式」を開発した。これは単一の光源からの光をいったんブレードと呼ばれる回転板に介して投射するというものだという。ブレードにはセグメントに相当する穴が開いており,回転版を通る光を適切なタイミングでオン・オフすることで残像効果でより細かい制御が可能になるという。
この方式が実現すれば,よりハイビームの照射範囲を広げることができるため,より安全な運転が可能になる。さらに高精細なLEDアレーが不要となるため,コスト的にも有利になるものと思われる。