矢野経済研究所では,国内における遠隔医療の製品を展開している企業およびシステムベンダー等を対象として,遠隔医療市場の調査を実施した(ニュースリリース)。
この調査では遠隔医療市場として,①遠隔画像診断市場,②遠隔病理診断市場,③遠隔診療市場,④遠隔健康管理市場の4市場を対象とした。
それによると,2015年度の国内遠隔医療市場規模は,122億6,900万円であり,遠隔画像診断市場が全体市場を牽引した。遠隔画像診断市場は既に成長期を経て成熟期に移行しているが,今後の技術革新によりさらなる成長が見込まれるという。
2015年8月の厚生労働省「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」は,遠隔診療の事実上の解禁とされ,これを契機にベンダー各社が市場に参入し,2016年にはスマートフォンと専用アプリケーションを使用した遠隔診療ツールが上市された。
遠隔診療が2018年の診療報酬改定がプラス改定となった場合,医療機関の導入が更に期待されることから,同市場の拡大は急速に進むものとしている。
情報通信技術(ICT)の急速な進展に伴い,現在の医療環境全般の課題となっている医師不足や医師偏在,医療費の増加,高齢化人口の増加などに対処することが可能となってきている。
現下,遠隔医療においては診療報酬上の課題も指摘されるなか,2018年の診療報酬改定においてプラス改定が期待されることから,2019年度の遠隔医療市場規模は199億600万円に成長すると予測する。