研究グループはこの光源を用いて血糖値センサーを製作し,現在使用されている採血型の測定器と精度を比較した。数人の被験者にグルコース水溶液を一定時間ごとに摂取してもらいながら血糖値の変化を調べるもので,この結果,ISOの基準に収まる測定結果が得られた。
この装置が実用化すれば糖尿病患者だけでなく,健常者も積極的に利用することが可能となり,糖尿病予備軍の健康管理も容易になる。さらに幼児や未熟児など採血の難しい患者に対する検査や連続的な検査も可能になる。
その他にも,今回開発した中赤外レーザーを用いて,食品業界や環境測定/分析などといった応用にも期待できるとしている。
一方でこのレーザーの発振や受光に係る部品の殆どは輸入品であり,入手に時間がかかることから製造やメンテナンスに課題があるという。
研究グループではこの技術を実用化するため,こうした光学技術を持つ企業との共同開発を希望しているほか,医療機器の臨床の承認申請や治験などのノウハウが無いため,こうしたことに関する協力も得たい考えだ。
2011年の血糖値検査・診断国内市場は724億9,000万円(矢野経済研究所)であり,世界市場を見ると2022年には274億2,000万ドルになる(Visiongain)との予測もある。巨大市場にリーチするという意味でも目が離せない技術と言えよう。◇
(月刊OPTRONICS 2016年4月号掲載)