LED世界市場,自動車やウェアラブルデバイス分野向けに注目集まる!

富士キメラ総研は,LED関連の世界市場を調査・分析した報告書『2017 LED関連市場総調査』をまとめた。

この報告書ではLEDパッケージやチップ,それらの材料をはじめ,バックライトや照明光源・器具,自動車用ヘッドライトなどのアプリケーション,LED競合製品の半導体レーザー,有機EL照明など計46品目を取り上げている。

■LEDチップとパッケージ市場
図1 LEDチップ市場推移:数量(上),金額(下)(2016年は見込み,2017年以降は予測)
図1 LEDチップ市場推移:数量(上),金額(下)
(2016年は見込み,2017年以降は予測)

LEDチップはGaAs系可視光,GaN系可視光,赤外光,紫外光のそれぞれの市場を調査。それによると,数量ベースで2016年は合計が6,572億5,100万個になる見込みで,2017年は7,510億4,600万個になると予測。金額ベースでは,2016年の合計が7,858億円の見込みで,2017年が8,060億円になると予測としている。

数量・金額ともに市場占有率が高いのはGaN系LEDとなっており,次いでGaAs系LEDとなっている。紫外LEDは2017年が4,600万個の予測だが,2020年には約4倍となる1億8,300万個に成長すると予測されている(図1)。紫外LEDの波長領域の中でも200~300 nm帯の深紫外光LEDの研究・開発が注目されており,理化学研究所や情報通信研究機構などが高効率・高出力化などにおいて成果が発表されている。参入企業のビジネス展開も活発化しており,トクヤマが深紫外LED事業をスタンレー電気に譲渡したほか,日機装は台湾プラスチックグループとの間で,紫外線LED事業における合弁会社設立に関する契約を締結した。

図2 LEDパッケージ市場推移:数量(上),金額(下)(2016年は見込み,2017年以降は予測)
図2 LEDパッケージ市場推移:数量(上),金額(下)
(2016年は見込み,2017年以降は予測)

LEDパッケージ市場は,白色LEDパッケージ,有色LED(GaAs系/GaN系),赤外LED,紫外LEDを調査。それによると,2016年は数量ベースで合計が3,321億8,800万円になる見込み,2017年予測は3,665億2,000万円になるとし,金額ベースでは2016年の合計が1兆8,539億4,000万円になる見込みで,2017年は1兆8,775億6,000万円になると予測している(図2)。

同市場では,その占有率が高い白色LEDパッケージの動向に大きく左右されるという。白色LEDパッケージは中国メーカーによる照明向けの低価格攻勢を受け,2015年は大幅に単価が下落。2017年以降も低価格化が進んでいくものと見られている。

白色LEDパッケージの主な用途は中小型・大型バックライトのほか,照明,自動車,スマートフォンのフラッシュライトが挙げられるが,数量ベースで照明向けが伸びる一方,バックライト向けは大幅に減少傾向にあるという。

有色LEDパッケージは装飾・イルミネーション,指示灯,ディスプレー,交通標識などが主な用途だが,数量ベースでは装飾・イルミネーション,指示灯・スイッチ向けの市場占有率が高い。一方で,ディスプレー向けが中国市場において需要が拡大基調にあり,中長期的にはその占有率が高まるものと予測されている。

赤外光LEDパッケージは,数量ベースで家電やOA機器,産業機器などに採用されるフォトインタラプタやIrDA・リモコン向けの市場占有率が高いが,今後も安定した需要にあると予測している。また,監視カメラ向けも堅調に伸びるとしているほか,介護分野における見守り機器などの採用も増加傾向にあるという。さらに生体認証なども注目されており,スマートフォンへの虹彩認証機能の搭載が進んでいる。一方で,TOF方式距離画像センサー向けなどで市場は微増ながらも成長すると見られている。

紫外LEDは樹脂硬化,分光,殺菌・滅菌,医療・美容分野,プリント基板描画装置,3Dプリンターなど幅広い用途がある。市場では長波長帯の紫外LEDが多くを占め,2016年は数量ベースで樹脂硬化向けが70%以上を占めるものと見込まれている。ただ,前述の深紫外波長領域のLEDも水殺菌用途で実用化されつつあり,今後は殺菌・滅菌向けに需要の増加が期待されている。