九州大学の研究グループは,重水を使って,藻類の一種であるミドリムシの光合成能力を調べる方法を開発した(ニュースリリース)。
ミドリムシは光合成によって,水と二酸化炭素から糖類を生産する。ストレス環境下では,この糖類をパラミロン顆粒として備蓄し,さらにバイオ燃料にも使える油脂に転換する。光合成能力の高いミドリムシ個体を探し出すことができれば,再生可能なエネルギーの実用化を促進できる。
研究グループは,光合成の原料となる水の代わりに,通常の水素よりも重い「重水素」を持つ水(重水)を使って,光合成により重水素をミドリムシに取り込ませた。
ラマン分光法を原理とした顕微鏡で観察した所,重水素標識された個体を見分けることができた。この手法は,光合成能力の高いミドリムシを選別する方法として,活用が期待できる。
また,この方法と,ImPACT合田プログラムで開発中の,超高速細胞分取装置とを組み合わせることにより,バイオ燃料を高効率に生産する「スーパーミドリムシ」を探し出せることが期待できるという。