JAMSTECら,4Kで世界最深の魚類撮影記録を更新

海洋研究開発機構(JAMSTEC)はNHKと共同で,自動昇降式の観測装置(フルデプスミニランダー,以下ランダー)に搭載した4Kカメラにより,マリアナ海溝の水深8,178mで遊泳する魚類の映像を撮影することに成功した(ニュースリリース)。

現在,最も深い海から採取された魚類とされるのは,1970年にデンマークがプエルトリコ海溝の水深8,370mから得たヨミノアシロだが,センサーによる精密な深度や現場の映像は撮られていない。2014年,イギリスとアメリカの研究グループが,マリアナ海溝の水深6,198~8,145mの海底において二種類のシンカイクサウオの撮影に成功,2017年4月には,中国科学院がマリアナ海溝の水深8,152mの海底で魚類の撮影に成功したと発表した。

JAMSTECとNHKは,マリアナ海溝における海底付近の生物撮影を目的として,4Kカメラを搭載したランダーを開発し,本年5月に深海調査研究船「かいれい」で調査航海を行なった。生物をおびき寄せるためにサバを取り付け,魚類の生息が確実視される水深7,498m地点と,生息限界深度とされる水深8,200mに近い水深8,178m地点の二か所にランダーを設置した。

最初に現れた生物は,どちらの海底においてもヨコエビの仲間で,水深7,498m地点では,ランダーの着底から3時間37分後,シンカイクサウオの仲間が現れた。水深8,178m地点では,ランダーの着底から17時間37分後の映像に,一個体のシンカイクサウオが泳ぐ姿を記録した。この水深は,これまでの記録である水深8,152mを26m上回る世界最深記録。

今回の調査によって,魚類の生息限界深度とされる水深8,200mに近い水深8,178mで,魚類の存在が確認された。研究グループは今後,海溝域における食物連鎖網の解明や,生物群集の生息密度の推定を進めるべく,現場観測,サンプル採取や解析も視野に入れた研究を継続する予定。

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