昭和電工は,パワー半導体モジュールのゲートドライバ用フォトカプラーやIoT関連各種センサー用に用いられる赤外LEDチップ(赤外LED)の製品ラインナップを拡充した(ニュースリリース)。
同社の赤外LEDは,LPE法の標準型LED,MOCVD法の透過型および反射型LEDの3種類で展開している。低電流域での出力の立ち上りや高速応答性に優れており,高信頼性が要求される産業機器・車載・医療・セキュリティ用途などで用いられている。
反射型LEDは,発光層の下にミラー層を形成し,光を真上方向に反射させることで発光出力を高めたLEDチップ。従来より産業機器用光電センサーなどに採用されていたが,今回,「ダブルジャンクション反射型LED」「P-アップ反射型LED」の2製品を追加した。
ダブルジャンクション反射型LEDは,発光層を2層にしたチップで,従来の反射型LEDチップの2倍近い出力を実現した。生体認証や監視カメラ,バーチャルリアリティ,車載センサーなど高出力が求められる用途に適しているとする。
P-アップ反射型LEDは,反射型LEDで主流のN-アップ構造と極性を逆にした製品。赤外LEDで広く用いられているLPE法ではP-アップ型が主流であり,同じ回路設計で高出力モジュールを開発したいというニーズに応えた。こうしたチップ構造の選択肢が増えることで,パッケージやモジュールにおける回路設計の自由度が高まる。
同社は,4元(AlGaInP)系,ガリウムヒ素(GaAs)系・ガリウムリン(GaP)系など多種のLEDチップの生産販売を行なっている。近年は特に赤外LEDの事業拡大に取り組んでおり,4月には昭光通商より,産業機器・車載・民生用の赤外LEDおよび表示用LEDを中心に事業展開を行なう昭光エレクトロニクスの株式を取得し,完全子会社化している。