エンシュウは,トヨタ自動車と開発したレーザークラッドバルブシート加工機を,トヨタ自動車の新世代TNGAエンジン量産ラインに納入し,量産が開始されたと発表した(ニュースリリース)。
レーザークラッドバルブシート加工とは,シリンダーヘッドのバルブポート部に,金属粉末を供給しながらレーザーにて溶融させ,直接肉盛りするもの。従来のバルブシートを圧入する方式と比べ,熱伝導性が大幅に改善され,冷却能力を向上させることができるが,これまでは信頼性の高い肉盛り技術が確立されていなかった。
同社は従来,金属粉末を焼結したバルブシートを,液体窒素を封入した円筒内部で間接冷却し,径を縮小させて圧入する「間接冷やし嵌め工法」を適用したバルブシート圧入装置を自動車メーカーに納入してきた。これは,「加熱嵌め工法」と呼ばれるシリンダーヘッド全体を加熱膨張させてバルブシートを圧入する方式よりも,ランニングコストや設置面積で有利なものだった。
今回開発したレーザークラッドバルブシート加工機は,この「間接冷やし嵌め工法」よりも総合的に地球にやさしい技術になるという。今後は過去技術工法の代替量産設備として普及させたいとしている。