スウェーデンの太陽光発電素材メーカーSol Voltaicsは,同社の特許取得プロセスを用いた太陽光発電ナノワイヤの製造に成功した(ニュースリリース)。
これは,安価でありながら最大50%もソーラーモジュールパワーを高める,同社の「SolFilm™」太陽光ソリューションを上市する道を切り拓いたもの。
ナノワイヤは、不純物ドーピングプロファイルによって,ワイヤの頂点と底辺が成長し形成される。結果,ワイヤの長さに応じたPN接合によって,それぞれのナノワイヤがソーラーセルとして正しく機能するようになる。
ここ最近,スケールメリットにおけるソーラー効率の伸びは著しく鈍化しており,従来型のモジュールでは,年平均わずか0.2~0.3%の伸びにとどまる。近年の効率促進技術の多くは,非常に高価で不安定といった問題がある。この技術は実績ある素材により,経済的に実行可能なソリューションとなるという。
軽量な光子膜である「SolFilm」は,太陽の方向へと向けられた何十億ものヒ化ガリウム(GaAs)ナノワイヤから成る。ナノワイヤはそれぞれがソーラーセルであり,高エネルギーを放つ日光を直接電力へと変換する。
これまでは宇宙プロジェクトや一部のソーラープロジェクトで利用されてきたGaAsは,ソーラー産業の主流においても大きな可能性を秘めていると言われてきた。しかし,その高い製造コストのため,今日まで,大規模ソーラーパネルの経済的な製造の障壁となっていた。
Aerotaxyを用いたナノワイヤの製造は,GaAsの必要量を劇的に低減し,結晶支持基盤を不要とし,原材料コストを大幅に削減することができるとしている。
同社は昨年,薄膜内でナノワイヤを整列させることに初めて成功した。最近では,優れた技術革新や将来の成功が有望視される企業を称える,Rapidus賞において「カンパニーオブザイヤー」を表彰した。
また同社は昨年,スウェーデンのエネルギー機関やEUホライズン2020の研究イノベーションプログラムからの資金調達を含め,新規株式で1700万ドルの投資ラウンドを獲得しているという。