千葉大ら,電解メッキ初期の電極近傍イオン種をリアルタイム観測

千葉大学,東京農工大学,高輝度光科学研究センター,物質・材料研究機構らの研究グループは,金属イオンが析出する際の電極近傍におけるイオン種のリアルタイム観測に初めて成功し,金属イオンがどのように表面に接近し表面に吸着するかを明らかにした(ニュースリリース)。

電解メッキは装飾だけでなく,電子部品製造や触媒の調製など多くの分野で用いられている。近年では,半導体の高集積化のための微細加工や,触媒分野では貴金属使用量削減のためにより高活性なナノスケールの触媒が求められており,原子レベルで析出層を制御する技術が必要となっている。

電極から数ナノメートル程度の領域は電気二重層と呼ばれており,溶液中とは異なった構造をとることが知られている。電解メッキでは,この電気二重層を金属イオンが通過する必要があり,溶液中のイオンの移動とは異なる。また,電解メッキでは,溶液中に金属イオン以外にも溶媒や添加剤が加えられており,メッキ速度の促進や制御作用がある。しかし,電析過程は複雑であり,金属イオン以外の物質がどのように作用しているのかも分かっていない。

電析構造を観測するためには,従来から走査型プローブ顕微鏡がよく用いられる。しかし,この手法では,探針を走査して表面構造を画像化するために,速い構造変化を追跡できないことや表面から離れた場所にあるイオン種は観測することが難しいことなどがあった。

金属析出の初期過程を原子レベルで明らかにするために,表面原子配列が整ったAu(111)単結晶表面を用い,金属イオンが単原子層だけ析出するアンダーポテンシャル析出と呼ばれる現象のリアルタイム観測を試みた。実験はSPring-8において1/2000秒ごとに時分割表面X線回折を用い,電極から1ナノメートル以内で界面イオン種の動きを追跡しした。

表面からのX線回折はクリスタルトランケーションロッド(CTR)散乱と呼ばれ,界面の原子やイオンを0.01オングストロームの分解能で決定できる。CTR散乱の詳細な解析により,電解メッキの初期過程において電析電位だけでなく,脱水和過程や対イオンにより析出速度が変わることがわかった。

アンダーポテンシャル析出は,数ナノメートルサイズの触媒合成などに用いられており,析出速度の制御が可能となれば,複数の金属イオンを析出させるなど,多様な構造を原子レベルで作り分けることで,高活性なナノ微粒子触媒の実現や半導体微細加工技術の向上などにつながるとしている。

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