市光工業は,自動車部品大手の仏ヴァレオによる同社の株式に対する公開買付け(TOB)に賛同し,ヴァレオグループ傘下となることを表明した(ニュースリリース)。買い付価格は普通株式1株につき408円。平成28年11月24日から平成29年1月12日にかけ行なわれる。
ヴァレオは既に同社の株式31.58%を所有しており,今回,同社を連結子会社化することを目的としてTOBを実施することを決定した。このTOBは同社の上場廃止を企図したものではなく,TOB後のヴァレオの株式所有分は合計で55.08%となり,上場は維持される。
ヴァレオグループは,自動車の部品,構成部品,システム及びモジュールの設計,開発,生産,販売を専門とする独立系の企業グループで,直近の連結売上高は145億ユーロ(約1兆9,005億円:1ユーロ131円7銭の為替レートで換算),世界の主要な自動車生産地域に134の生産施設を有し,30ヶ国で82,800人の従業員を雇用している。
一方,市光工業グループは連結子会社10社,持分法適用関連会社2社及び持分法非適用関連会社1社により構成されており,自動車用照明製品及びミラー製品等の製造・販売,及びアフターマーケット向けを中心とした自動車用バルブやワイパー等の製造・販売を主な事業としている。
今回のTOBにより同社は,自動車の照明製品のOEMとアフターマーケット顧客への供給のために,グローバルで競争力のある提案がヴァレオと共同で可能になる。また,新製品の共同開発,スケールメリットを活かした共同調達(特に電子機器)や共同研究開発による販売管理費の削減が期待できるとしている。
ミラー事業に関しては,同社はカメラが備え付けられた電子ミラーの外部の開発を担当する一方,ヴァレオは映像信号やカメラによる支援を行なうという。また,同社はヴァレオが専門性を有するLED技術の恩恵を受けるとしている。