IHI検査計測は,レーザーアブレーションを応用した金属表面洗浄装置「レーザークリア」を,10月12日~15日,東京ビッグサイトで行なわれた宇宙・航空関連展示会「国際航空宇宙展2016」(JA2016)に出展した。価格は800万円。
これはレーザーをライン状に照射して金属の表面層を除去するクリーニング装置。溶接の前後処理,油膜・酸化膜の除去,検査前処理,金型クリーニング,塗膜剥離などでの使用を提案している。
光源にはフジクラ製のファイバーレーザー(波長1080~1090nm,Qスイッチパルス)を使用しており,最大平均出力は50W,ダイオード寿命は1万時間(期待値)となっている。レーザーの照射幅は約10cmで,30cm程度離れて使用する。
金属表面のクリーニングは従来,薬品やサンドブラスなどで行なわれていたが,この装置では薬品や砂の処理などが不要になるほか,コンタミ層のみ除去できるので,母材へのダメージが少ない。また,100V電源で使用でき,ランニングコストも殆ど電気代のみだという。
これまで,類似の製品は海外製であったが,YAGレーザーを使用しているため価格が1,000万円程度するほか,光源の寿命が短い(製品により1年未満)という問題もあった。この製品はこうした問題を解決したほか,その他の部品もオール日本製とすることで信頼性も高めた。
既に自動車やアルミなどの金属加工関連企業を中心に10台程度の実績があり,グループ企業のIHIでも使用しているという。同社では装置のさらなる軽量・小型化を進め,ランドセルのように背負って使えるポータブルタイプながら,出力を75Wに上げた製品を開発しており,来年の発売を予定している。