早稲田大学は,浜松ホトニクスと開発した携帯型コンプトンカメラをドローンに搭載し,上空から福島原発事故で飛散した137Csの分布状況を,短時間で一気に画像化することに成功した(ニュースリリース)。
実施方法として,ドローン(DJI社製S1000+: 4.4kg)にコンプトンカメラ(重量1.9kg)とノートPCを搭載し,上空15~20mから直径70メートルの範囲を動画撮影した。取得した画像はリアルタイムで地上に無線で送信する。
上空からの撮影により,視野内に複数のホットスポットを確認した。上空15メートルから見つけたこれらホットスポットを,ドローン回収後に地上で撮影して確認したところ,グラウンドの平均的な線量の約2倍の強度を持つホットスポットが,ほぼ正しい位置に検出できていることがわかった。
また,ドローンを用いて放射線核種の飛散状況を広域でサーベイする手法は,とくに森林部で威力を発揮することが予想されている。とくに,上空から森林を撮影することで,重点的に除染すべき領域を一目で識別できた。
今回行なったテスト撮影では,撮影部が深い森林のため,前記グランドのような地上での撮影・線量確認は行なっていないが,今後より詳細な実験・検証を重ねる。
上記二つの実施例では,ドローンの高度を15メートルに固定し,上空一点からガンマ線の撮影を行なった。一方で,ドローンを用いるもう一つのメリットとして,高度を自在に変えた測定も可能。
今回の調査では,地上から上空150メートルまでの線量・高度変化の測定を併せて実施した。高度によって線量がなだらかに減衰する様子や,本年4月に比べて9月の線量が下がっていることも確認できた。同様な調査を定期的に実施することで,森林部,とくに樹冠における放射性核種の動態調査なども可能になるとしている。
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