早稲田大学は,情報通信研究機構(NICT),日立国際電気と共同で,高効率高速受光素子の開発に成功した(ニュースリリース)。この素子を搭載したモジュールに光ファイバーを接続すると,電源なしで光信号から100GHzのミリ波信号(4mW)を発生させることができる。
ミリ波帯は,100Gb/s級の超高速無線通信を可能とする一方で,その発生の困難さと伝搬距離の短さから,必要なところまで有線の光ファイバーで届け,必要最小限の距離を無線の電波で伝える有無線融合ネットワークとしての実現が期待されている。
しかし,光信号とミリ波信号の変換モジュールに電源が必要であることや,システムの構成が複雑などの課題があった。NICTでは,これらの課題を解決するために,光信号をミリ波信号に変換する素子の開発を進めてきた。
新しい高速受光素子(自己発電型高速受光素子)は化合物半導体技術を用いたもので,特殊なPN接合構造を配置することで外部電源を必要とせず,同素子から信号出力と併せて起電力を得られることがわかった。
この技術の開発により,簡単な構成で光信号からミリ波信号への変換が可能となり,光ファイバー通信と電波による無線システムのメリットを併せ持つ有無線融合ネットワークの大幅低コスト化が期待されるという。
研究グループは今後,ミリ波帯レーダーを用いた滑走路上の異物検出システムや,高速鉄道などで利用可能な光ファイバーとミリ波帯無線を融合した高速通信システムへの応用を検討していくとしている。