産総研,デジカメのモアレから構造物のたわみを計測

産業技術総合研究所(産総研)は,東日本高速道路,ネクスコ・エンジニアリング東北と共同で,デジタルカメラで橋のたもとから橋梁を撮影した画像を用いて,従来よりも簡単に,車両が通行する際に橋梁に生じるたわみ分布を短時間で計測できる技術を開発した(ニュースリリース)。

また,この技術を用いて,常磐自動車道の常磐富岡インターチェンジ(IC)と山元ICの間にある9つの橋のたわみ分布を計測する実証実験を行なった。

橋梁の健全性は,車両通過時のたわみを基準に評価される。従来は,橋梁の床版と地面をピアノ線で繋ぎ,ピアノ線の伸縮からたわみを計測していたが,ピアノ線の取り付けに手間がかかることや,橋梁が山間部や渓谷に架かる場合や直下が海である場合などは,計測が困難になるといった課題を抱えていた。

今回開発した技術では,モアレ縞の拡大現象を橋梁のたわみ計測に利用する。まず,格子模様のターゲットを取り付けた橋梁をデジタルカメラで撮影する。デジタルカメラの撮像素子画素は格子状に配置されているため,ターゲットの撮影画像は,ターゲットと撮像素子画素の二つの格子を重ねたことに相当する。

撮影画像をデータ処理して撮影素子画素とターゲットの格子間隔を近づけて,モアレ縞を生成させる。生成したモアレ縞の位相値の変形前後の変化からターゲットを取り付けた部分の変位を算出する。

さらに,カメラからの距離によって,撮影されるターゲットの格子間隔が変化することや,計測時のカメラの揺れを補正することを考慮して,新たなたわみ計測アルゴリズムを開発し,橋梁の斜め方向や橋台にカメラを設置してたわみを計測できるようにした。

今回,開通前の常磐自動車道9橋におけるたわみ計測の実証実験に成功し,その技術の有効性を確認した。今後は,この計測技術を道路橋だけではなく,鉄道橋やトンネルといった社会インフラや高層ビルなどの変形分布計測に適用していく。また,こうした社会インフラの老朽化が急速に進行している先進国や,急速な発展により構造物の信頼性が十分確保されていない発展途上国における社会インフラの健全性診断へと展開するとしている。

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