農研機構は,市販の内視鏡を改良し,ニワトリのヒナのオス・メスを簡易に判別することができる内視鏡鑑別法を開発した(ニュースリリース)。
鶏卵を生産する養鶏施設などでは,卵を産むメスだけが必要なため,孵化直後のニワトリのヒナのオス・メスを判別している。その方法には肛門鑑別法,羽毛鑑別法,機械鑑別法などがあるが,いずれも特殊技術が必要だったり,時間がかかるなどの問題点があった。
今回開発した雛雌雄鑑別用の内視鏡は,管径が細い小動物用の内視鏡(AVS製)を改良したもので,ニワトリのヒナの精巣や卵巣をパソコンなどの画面に映してオスかメスかを判別する。
これまでの機械鑑別法では,接眼レンズを覗きながら小さくわずかに見える精巣や卵巣の形態を観察して,オスとメスを判別していた。しかし,内視鏡鑑別法では,パソコンなどの画面上に精巣や卵巣の形態が拡大して映し出されるため,雌雄鑑別が容易となり,鑑別精度や作業速度の向上が期待できるという。
この内視鏡は操作が簡易で,多種多様な品種のニワトリに利用が可能。3日間程度の操作経験を積んだ者が,この内視鏡を使った場合の鑑別率は,白色レグホン種では91.1%,そしてロードアイランドレッド種では88.3%だった。
今後,操作経験の積み重ねや,機器の使い勝手の改良などによって,鑑別精度や作業速度のさらなる向上が期待できるとしている。
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