NTTはレーザーピコプロジェクタ―に適したレーザーを集積した超小型合波路を開発,NTT R&D 2018にて展示した(技術概要)。
現在のレーザープロジェクターのうちRGBの光源を使う方式の場合,各色のレーザーをレンズやミラーを介して合成するため,一定以上のサイズがどうしても必要となり,小型化の障壁となってきた。
NTTでは通信波長帯レーザーを用いた光ファイバーの知見が集積していることから,可視光についてもこの技術を応用し,超小型のRGB合波路を開発した。試作したデバイスの大きさは2mm×6mm。ガラス上に付けたRGB3本の導波路を1本に合波し,さらにRGBのレーザーを集積している。
プロセスとしては石英系プレーナ光波回路(PLC)を作るのと同じだといい,ブレーキング前のウエハも一緒に展示した。ただし,扱うのは通信波長帯1/3程度の光であるため,その分微細な技術が必要であったことや,さらにそれぞれ波長の異なる3つの光を適切に扱うことが難しかったという。
展示では,網膜照射型のウェアラブルディスプレーを開発するQDレーザーの協力を得て,外付けながら実際にQDレーザーが開発する網膜照射型ディスプレーにこの光源を組み込んだ試作機で表示デモを行なった。
NTTではこのデバイスのサイズをさらに半分程度まで小型化することが可能だとみており,今後はこのようなウェアラブルディスプレーをはじめ,超小型プロジェクターへの採用を目指していくとしている。