理研ら,宇宙最強の磁石星を新規に発見

理化学研究所(理研),トルコ イスタンブール大学,青山学院大学の研究グループは,2020年3月に報告された新天体「Swift J1818.0-1607」が,これまでに20天体ほどしか見つかっていない中性子星の一種,宇宙で最も強い磁場を持つ「マグネター」であることを突き止めた(ニュースリリース)。

大質量の恒星がその一生を終えて超新星爆発を起こすと,ブラックホールや中性子星などが残る。中性子星の種族の中で,最も磁場が強い天体は「マグネター」と呼ばれ,その表面磁場は100億~1000億(1010-11)テスラにも達する,宇宙で最強の磁石星といえる。マグネターはその強い磁場のため,磁場中における光子の自発分裂や真空の複屈折など,地上では観測できない現象が起きていると考えられている。

また,マグネターは星の内部や周辺に蓄えた磁気エネルギーを開放して輝いており,回転エネルギーで光る通常の電波パルサーとは異なるエネルギー源を持っていると考えられている。マグネターには,X線で常に明るい天体と突発的に明るくなる天体があり,これまで20天体ほどしか知られていなかった。

2020年3月12日,アメリカ航空宇宙局(NASA)が新天体「Swift J1818.0-1607」を発見。研究グループは,国際宇宙ステーションに搭載されたX線望遠鏡「NICER」を用いて追跡観測した結果,Swift J1818.0-1607がマグネターであることを突き止めた。これは知られているマグネターの中で最も自転が速いことが分かった。この新天体は電波の信号も検出される珍しい天体であり,電波でも周期性が確認されたという。

その後の観測の結果,自転の周期が急激に変化する「グリッチ」と呼ばれる現象を検出することに成功。グリッチは,中性子星の内部状態が変化することで発生すると考えられており,今後,マグネターの内部を理解する上で重要な観測データになるという。

さらに,Swift J1818.0-1607が銀河系に隠れていたことも分かった。また,50日間の観測で50%ほどX線の明るさ(フラックス)が減少したことから,今後,再び眠りにつくのではないかとしいている。

Swift J1818.0-1607はマグネターとして振る舞いつつも,これまでに知られていた電波パルサーの特徴をも備えていることが示唆される。今後,中性子星の進化を理解する上で,異なる種族を結びつける鍵となる天体であると考えられるとしている。

その他関連ニュース

  • 東大,爆発前超巨大星の表面温度を正確に測定 2021年03月01日
  • 東大ら,ベテルギウス減光の原因や大きさなど解明 2021年02月05日
  • ニデックの防塵コーティング研究,JAXAが採択 2021年01月25日
  • 東大ら,原始ブラックホール形成の謎を光学観測 2020年12月25日
  • すばる望遠鏡,はやぶさ2の再ミッション先を撮影 2020年12月24日
  • 東大,134億光年先の最も遠い銀河を分光で同定 2020年12月16日
  • NEC,衛星用光通信装置を開発 2020年12月14日
  • NAOJら,新系外惑星撮像装置で初の発見 2020年12月12日