近大ら,海王星の新たな衛星を2つ発見

著者: 梅村 舞香

近畿大学,米カーネギー科学研究所,米ハワイ大学,米ノーザン・アリゾナ大学,米航空宇宙局(NASA)は,マゼラン望遠鏡とすばる望遠鏡を用いて,2021年から観測を行ない,海王星の2つの衛星を発見した(ニュースリリース)。

太陽系の4つの巨大惑星である木星,土星,天王星,海王星には,それぞれの周りを回る衛星が存在する。しかし,地球から遠い天王星や海王星は衛星の観測が困難なうえ,探査機での調査回数が過去一度しかなく,全ての衛星が発見されているわけではない。

海王星の衛星は,1846年に発見された最も大きいトリトン(直径約2,700km)から,2013年に発見されたヒッポカンプ(直径約35km)まで,これまでに14個が見つかっていた。

これらの衛星は2つのグループに分かれており,一つはトリトンを含む海王星に近い位置にある衛星,もう一つは海王星からかなり離れた位置にある衛星で,離れた衛星群は細長く傾いた軌道をとることが多いため,不規則衛星とも呼ばれている。

研究グループは,2021年からマゼラン望遠鏡とすばる望遠鏡を用いて海王星の衛星を観測し,2024年2月23日に海王星の2つの新しい衛星を発見したと発表した。今回の発見により,海王星の衛星は全16個となった。

2つの衛星は,直径が約23kmと約14km,海王星に対する公転周期は約9年と約27年で「S/2002 N5」と「S/2021 N1」と仮称された。これらの衛星は非常に暗いため,発見には何日も3~4時間かけて5分間の露出を何十回も行なう必要がある。

複数の露出を重ねることで,星や銀河は軌跡を描き,海王星と同じような動きをする天体は点光源として見え,背景ノイズの中から衛星が浮かび上がる。特に「S/2021 N1」は,これまで地上の望遠鏡で発見された最も暗い衛星となる。

この2つの衛星は,遠くて細長い軌道を描いているため,不規則衛星に分類される。これは,太陽系が誕生して間もない頃に,彗星や小惑星との衝突によって海王星の大きな原始衛星がバラバラになり,その破片が海王星の重力に捕らえられて衛星になったことを示唆している。

木星,土星,天王星の周りにも類似した構造の不規則衛星が存在しており,こうした惑星から遠い位置にある衛星がどのようにして重力に捕らえられたかを理解することは,太陽系の巨大惑星の形成と進化過程について解明する鍵となる。

研究グループは,この研究成果は,海王星の衛星と太陽系の惑星が約46億年前からどのように形成され,進化してきたかを解明する際に,重要な手がかりとなるとしている。

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