半導体エネルギー研究所(SEL)は,駆動素子に同社のCAAC-IGZO(c-axis aligned crystalline In-Ga-Zn-O)を用いた,有機EL(OLED)ディスプレーの同社最先端ソリューションをSEMICON Japan 2018にて展示した。
今回展示したのは, 8.3インチ高精細8K OLEDディスプレーと,8.6インチフォルダブル(折り畳み)OLEDディスプレーの2種類。8K OLEDディスプレーは8.3インチで1058ppi(7680×4320)もの解像度を持つ世界最小の8Kディスプレー。構造は白色タンデムOLED(トップエミッション)+カラーフィルタとなっている。フレームレートは60fpsだが,展示した8.3インチの他にも13.3インチの標準タイプも開発しており,こちらは120fpsでも動作する。
超高精細とすることで,医療現場のような細かい観察が不可欠な環境下でも使用することができるほか,VR用ゴーグルに用いればさらに高い没入感を得ることが期待できる。また,同社ではBT.2020に対応したOLEDの材料も開発しており,今回展示したディスプレーに使用した。これにより高い色再現性も獲得したとしている。
もう一つの展示品である8.6インチフォルダブルOLEDディスプレーは,解像度が265ppi(1200×1920)で最小曲率半径3mmを実現している。曲げ試験は1万回以上を達成しているといい,実用的な性能を実現している。さらに,容量結合式のタッチスクリーンを内蔵。高いフレキシブル性を損なうことなくタッチ機能を搭載しており,次世代スマートフォンやタブレットを視野に入れたものになっている。
同社はシャープとの協業を通じてIGZOを用いた液晶ディスプレーの開発を中心に行なってきたが,シャープの経営体制が変わって新たなビジネススキームが求められている。今回同社はIGZOの技術を,LSIや不揮発性メモリなどにも展開する展示を行なった。さらに,リチウムイオン電池の過充電などを防ぐ保護回路にもその応用を進めており,将来的には電気自動車など,より電圧の高い分野へも進出したい考えだ。