工作機械メーカーが,レーザー加工と研削・切削を複合化させた加工装置の開発に注力している。
去る11月17日~22日に開催された日本国際工作機械見本市「JIMTOF」ではこのような動向を見ることができ,オークマ,DMG森精機,ヤマザキマザック,シチズンマシナリーの工作機械メーカーが出展し,注目を集めた。
オークマ,DMG森精機,ヤマザキマザックの装置は,レーザーによるアディティブマニュファクチャリング(AM)を可能にするもので,航空機などの高付加価値な部品製造をアプローチしている。シチズンマシナリーは従来の旋盤加工装置にレーザーを搭載することで,高精度な部品生産を可能にする装置を製品化した。
工作機械は現在,IoTを活用することで生産現場に新たな革新をもたらそうとしている。一方,レーザーの搭載により,さらなる製造技術向上も図られている。
レーザーと機械加工の融合は今後も加速するものと見られているが,今回,JIMTOFに見るレーザー複合加工装置を中心に,参入メーカー各社の開発動向をレポートする。
■オークマ,トルンプのレーザーを採用したAM複合加工装置を発表
オークマは,レーザーAM複合加工装置として「MU-8000V LASER EX」,「MU-6300V LASER EX」,「MU-5000V LASER EX」,「MULTUS U4000 LASER EX」,「MULTUS U3000 LASER EX」の5機種を開発した。
ミーリング,旋削,研削加工に,焼入れと金属積層造形を融合させたもので,マスカスタマイゼーションを志向し,航空機エンジン基幹部品の品質要求に応える積層造形技術のソリューションを提案していくとしている。
レーザーによるAM技術は,ドイツ・トルンプのレーザーを採用した研究・開発の成果としており,JIMTOFではトルンプ製の4 kW出力のディスクレーザー「TruDisk4002」によるデモンストレーションを行なった。このレーザーは光ファイバーによって6分岐させることが可能で,デモは積層造形とミーリングを可能とする「MULTUS U3000 LASER EX」と,積層造形と旋盤,研削加工を可能とす「MU-6300V LASER EX」で行ない,この2台をレーザーに接続させていた。同社によれば,高精細積層であれば200 W,ブレードなどの中盛積層で1,500~2,000 W,完全造形で2,000 Wの出力を目安としている。レーザー加工ヘッドは,左右2か所から積層造形用材料を供給する機構となっており,レーザーは中央照射としている。
■DMG森精機,液晶モニターを搭載した大型レーザー複合加工装置の試作機を発表
レーザーAM複合加工装置で先行するDMG森精機が今回発表したのは,「LASERTEC 4300 3D」で,大型ワークに対応するもの。既に米国において納入実績があるとし,今後は日本市場での販売を開始する計画という。この装置では,レーザーによる積層造形とミーリングを可能とする。
採用している光源は3 kW出力の波長1070 nmの半導体レーザーとしており,装置にはCCDカメラを搭載し,加工のもようを装置の前面に配した液晶モニターでモニタリングできるようになっている。加工ヘッドは積層造形用粉末材料の供給機構がシングルノズルとなっている。これに関して同社では,今後の製品化に向けて改良する可能性があるとしている。