光とレーザーの科学技術フェア2017盛況のうちに閉幕! ─注目した製品をレポート

光とレーザーの科学技術フェア2017がこの11月14日〜16日まで,科学技術館(東京・北の丸公園)において開催された。このフェアは赤外線・紫外線,光学薄膜,分光,レーザー&オプティクスに関わる6つの専門展で構成されるが,それぞれのエリアにおいて関連する企業が多数出展し,来場者の注目を集めた。主催者発表による来場者数は会期3日間合計で,約4,500名。フェアでは関係学会や協会,研究会などと連携することでより専門性を強め,日本における光技術のプレゼンスを高めることを目的に開催しているのを特長としている。そこで今回,編集部では本フェア展示会を取材。注目したいくつかの製品を紹介する。なお,2018年は11月13日〜15日まで場所を同じく開催が予定されている。

カスタマイズに特化した赤外線カメラ開発キット

ヒューテックは赤外線カメラの開発キット「EKモデル」を展示した。これはカメラヘッドとアプリケーションの開発ツール(SDK),評価用ソフトをパッケージングしたもの。生産ラインなどに測定ツールとして赤外線カメラを導入するとき,既存のシステムとの相性の問題などからスムーズに運ばないケースがある。この製品はそうした顧客に向けたもので,自前のシステムに合わせたソフトウェアの開発が行なえる。

これは赤外線カメラとしては初めての試みになるという。カメラは同社製でQVGA,VGA,XGAの3種類をラインナップする(現在発売しているのはQVGAモデルのみ 残りは2018年3月発売予定)。1アプリケーションで最大4台までのタイプの異なるカメラをコントロール可能。画像処理,解析処理などのライブラリも提供する。

紫外線硬化に適した平行光光源

カンタムエレクトロニクスは特許出願中の独自技術により,コリメーション角±1.5°の平行光を実現したUV-LED露光用光源を展示した。これは同社が培ったレーザーの光学技術を応用したもので,フライアイレンズや凹面鏡を使用せずにコンパクトな筐体(70×70×150 mm)を実現した。展示品の照射エリアは50×50 mmの正方形だが,要望に応じたカスタマイズが可能。光源も標準の365 nmから385 nm,395 nm,405 nmなどに変更できる。

この光源はレンズや精密部品など,均一硬化が求められるアプリケーションを想定している。例えばレンズの張り合わせでは硬化にムラがあると芯ずれの原因になったりするため,均一性の高い光源が求められる。また従来の水銀ランプと置き換えることで,光源の寿命が伸びる他,熱やオゾンの排出も不要になるので設備投資面でメリットも大きいとしている。

社内向けだった微細加工のノウハウを提供

ウシオ電機は,新たな取り組みとして微細パターンの受託加工を開始しており,会場内でその紹介を行なった。同社は光源を中心とするメーカーだが,社内向けに蓄積してきた様々な微細加工技術とノウハウをソリューションとして提供する。事例として,光学素子を高機能化するサブミクロンからミクロンオーダーまでの微細パターニング技術や,高い消光比を実現する紫外線用のワイヤーグリッド偏光板の作成,高精度・高均一で曲率のコントロールに優れたマイクロレンズアレーの形成,寸法精度の高いナノインプリント用モールドの加工などがある。

素材はガラスやシリコンの他,酸化物などにも対応する。材料や形状などに応じて最適な設計やプロセスを提案してくれるので,ノウハウが少ないユーザーにも便利なサービスとなっている。現在,試作から小ロット生産を受けており,今後は大量生産にも対応していきたいとしている。