2016年12月号特集「光×ロボット」では,“光”を要素技術として捉え,ロボットに関するその応用研究にスポットライトを当てた。これに関連し,もう一つ注目したロボットを取り上げる。シャープが開発したモバイル型ロボット電話『RoBoHoN(ロボホン)』で,2016年5月より販売を開始しているものだ。
ロボホンには,レーザープロジェクターが内蔵されていることから,光技術の観点からも興味深いものがある。今回このロボホンについて,その開発を主導したという,同社IoT通信事業本部・コミュニケーションロボット事業部・商品企画部・チームリーダーの景井美帆氏に開発の経緯から特長・仕様,導入されている光技術などについて話を伺った。
■ロボホン,開発の経緯
ロボホンの開発は2013年にスタートしたという。最初からロボット型を想定していたわけではなく,スマートフォンに耳をつけるなどといったオプション品の開発が考えられていた。同社はスマートフォンの開発も手掛けているが,景井氏は「スマートフォン自体が,ハードウェア的になかなか差別化を図ることが難しいため,形状など何かしらの変化を与えることで差別化を図ることを考えていた。そのような中で巡り合ったのが,ロボットクリエイターの高橋智隆先生(東京大学先端科学技術研究センター・特任准教授)で,ロボットとスマートフォンを融合させる商品コンセプトが生まれた」と語る。
そして,ロボホンでは音声対話をメインに,これまで同社が培ってきたノウハウを活かしながらインターフェースの開発を進めたという。同社では,これまでにも音声対話をメインとする商品開発の考え方があった。例えば,同社のロボット掃除機「COCOROBO」には会話機能が搭載されているが,競合他社とは切り口が異なるコンセプトで製品を開発しているとし,ロボホンでもそれに基づいて開発を進めたとしている。
■何ができるのか―ロボホンの特長・仕様概要
通話やメール,カメラや動画の撮影などの機能は音声入力によって起動する。通話中は会話に合わせて動いたり,メール文書も読み上げたりもするし,歌や日常的な会話もできる。また,ロボットとして二足歩行や,音楽に合わせてダンス,腕立て伏せや腹筋などの動きもできるなど様々なアクションも取る。
景井氏は「単にスマートフォンがロボット型になったというよりは,スマートフォンとロボットが組み合わさることによって,ユーザーに全く新しい体験を与えたい」とその魅力を語る。ロボホンのこうした機能は,毎月配信されるアプリケーションによってアップデートされていくことになる。
「これにより,ロボホンは人のように成長していくことから,ユーザーがロボホンを使うモチベーションの向上にもつながる。そのため,ロボホンが成長していく要素は非常に大切にして開発を進めている」(景井氏)という。同社ではロボホンをプラットフォームとし,外部企業とも連携しながら,様々なサービスにつなげていく活動も展開している。