行なわれたデモは,1本の光ファイバに7本のコア(伝搬路)が入った7コアMCFを用い,各コアを使って映像や音声の信号を流すというもの。増幅器の前後に50kmずつ,全長100km,容量109Tb/sの伝送路を構築した。
融着以外の接続ではコネクタも用いられた。コネクタは,機器と光ファイバを接続するのに光ファイバの端面同士を押しつけて接続する。ここではシングルコアファイバ(SCF)の接続に一般的に使用されている,MU,FC,SC,3方式のコネクタをMCFに適用し,伝送路中に使用した。
MCFのコネクタは,単にファイバ同士を結合するだけではなく,SCFを集合(分岐)する役目(ファンイン/ファンアウト)も持つ。今回の7コアMCFの場合は,1本のMCFと7本のSCFをコネクタを介して集合(分岐)したが,いずれの方式も実用的な損失(0.5dB以下)における接続を実現している。
また19コアなど,さらにコア数が多いMCFでは,こうしたコネクタでは接続が難しくなることが考えられるため,新たな方法も検討されている。1つはSCFとMCFを光学系によって空間結合しようとするもの。具体的には,SCFの端面に取り付けたレンズと,MCFの前に取り付けたレンズの間で光を入出射して互いのコアに結像させる。
このデバイスは,今回のデモでは「レンズ結合コネクタ型デバイス」として伝送路に組み入れられた。このレンズ結合コネクタの有利な点として,サイズや規格の違う異種MCF同士の結合が可能なこと,空間光学系にアイソレータなどの光学デバイスを組み入れることができるといった点がある。さらにNICTでは,接続するSCFを容易に入れ替えることができるタイプも研究しており,柔軟な伝送路の構築が可能になる。
もう一つはポリマー導波路を積層した「積層ポリマー導波路型入出力デバイス」で,これはレンズ結合コネクタよりも小型化できるほか,コストや量産性でも期待が高い。