今の家に引っ越しをした時に,まだ小学生だった娘から,転校との交換条件として犬をねだられた。その時に仔犬としてやってきた柴犬は,娘が大学進学のために家を出て行ってしまった今でも我が家の一員として暮らしている。犬を飼いたいと言った張本人は何もしなかったから,結局,最初から妻と僕とで犬の面倒を見る羽目に陥った。出勤前の朝の散歩は結構辛い。
とはいっても,「早起きは三文の得」とはよく言ったもので,季節によっては朝日に染まる富士山などの神聖な景色を眺めることができるし,夏であれば,草や蜘蛛の巣を飾る水滴が太陽の光をキラキラと反射する光景を見る楽しみを味わうことができる。一見,どれも同じに見える水滴の光も,あるものは太陽光と同じ白色であり,またあるものは赤味や青味がかった色をしていて,見る角度によってその色が変化する。それらの光が自分の歩みや風に合わせてキラキラと点滅する光景はなんとも絢爛である。
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