志望していた大学の受験に落ち,僕の浪人が決定したその日の夕方,親戚の叔母さんから一本の電話がかかってきた。それは事もあろうに大学合格のお祝いの言葉だった。新聞の夕刊に掲載された合格発表風景の写真に僕が写っているというのだ。
確かに発表会場にいた僕は自分が不合格だったことを悟られるのが悔しくて,無理してニコニコしていたのだ。叔母さんは新聞の写真の中にその笑顔をみつけて,僕が合格したのだと勘違いしたらしい。今となれば笑い話だけれども,そのときの僕は,さらに虚しい気分に陥ったのだった。
この続きをお読みになりたい方は
読者の方はログインしてください。読者でない方はこちらのフォームから登録を行ってください。