5. 地域別市場
5.1 アジア太平洋市場
全世界のVCSEL市場のうち,アジア太平洋地域は最も急速に拡大すると予測されている。急激な工業化の進展,産業の自動化,コンピュータとそれに付随するLEDディスプレイ,通信デバイスなどへの需要が市場の拡大要因となるだろう。さらに,電子産業,自動車業界からのニーズが成長の後押しをする。
また,半導体の製造,パッケージング技術に対する投資は,大規模な製造設備を有するこの地域に集まることになる。
産業化が進展し,高速光通信への需要が高まるインド,中国が,VCSEL市場として最も注目を集める国となるだろう。
スマートフォン,タブレットなど消費者向け製品の利用,巨大な人口規模,高度な通信サービスへのニーズなどにより,予測期間の終わりまでにアジア太平洋地域が世界最大のVCSEL市場に成長する。
2014年の時点でシェア37.7%,金額ベースで6,640万米ドルと,アジア太平洋地域で最大の市場規模を持つのは日本であった。2015年から2020年までに複合年間成長率20%で成長し,2020年には2億1,470万米ドルに拡大すると思われる。
2020年には,中国が日本を追い越し,2億1,680万米ドル規模の市場になると予測されている。しかし,日本がVCSELの主要市場であることは今後も変わらないだろう。
6. おわりに
発光色別市場の部分で述べた通り,緑色レーザーの成長の潜在性は高い。特にGaNベースであれば,高温での動作や出力密度などから,他の素材に対して大きな優位性を持つと思われる。
しかしながら,格子不整合,p型導電性などの問題が大きく,いまだGaNベースVCSELの商用化は成功していない。こうした技術的な課題をクリアし,製品に組み込むことができれば,VCSEL市場全体へのインパクトは大きいだろう。
株式会社グローバルインフォメーション
マーケティング部 部長
(月刊OPTRONICS 2016年9月号掲載)
このレポートは,㈱グローバルインフォメーションが扱う各国の市場調査会社の報告書をもとに執筆したものです。豊富な資料を揃えていますので,より詳細なデータや関連データだけでなく,その他にもお探しのデータがある場合,同社までお問い合わせください。
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