光技術が可能にする安心・安全な農作物 ─迫る危機から日本の農業を救え

◆霜田 政美(シモダ マサミ)
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構) 生物機能利用研究部門 昆虫制御研究領域 昆虫相互作用ユニット長

1990年 筑波大学大学院農学研究科 応用生物化学専攻修士課程修了。1991年 農林水産省・農業研究センターに入所。2016年より現職。内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム「新たな植物保護技術の開発」(平成26〜30年度)において「視覚イメージを利用した害虫防除技術開発」グループの取りまとめを担当。大学3,都道府県の試験研究機関7,国立開発法人2,民間企業5の国内17機関とともに光防除技術の実用化を推進している。

農業と物流の近代化により,野菜をはじめとする農作物は安定して供給されるのが当然のように思われているが,昨年は天候不順によって野菜の価格が高騰,農業が自然の力を借りて成り立っていることを改めて痛感させられることになった。

農業の現場における自然の脅威は天候だけではない。「害虫」も恐るべきリスクの一つだ。一度害虫に襲われれば,農作物が受ける被害は甚大なものとなる。そのため多くの農家は農薬を繰り返し散布し,被害を未然に防ごうとしている。

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