光の力でデブリを捉え,クリーンな衛星軌道を目指す

黒字化の見込みについて教えてください

申し上げたようにビジネスラインが二つあって,それぞれの時間軸が違ってきます。まずスペースデブリはBBMの後EMのフェーズに入るのですが,EMフェーズでもある程度時間がかかることを見込んでいて,2026年度終わりぐらいまではEMの段階は続くと思っています。

その後,回転を止めるペイロード機器として最初の売り先がないか今探しています。もしうまくいけば,2027年~2028年に最初のペイロードが売れる可能性があると思っています。まずはそこで,このレーザーが宇宙で使えるかどうかを検証し,その後は売り上げを徐々に伸ばしていく計画です。

一方で,衛星のライダーの事業は,JAXAの事業と民間の事業という二つがありますが,民間事業は2031年の打ち上げを計画しています。まだ先が長いのですが,宇宙だとこのくらいかかるのが現実です。その打ち上げ後にデータを作って販売する流れになっているので,サービスとして開始するのはもう少し遅いだろうと思っています。2032年以降になるのではないでしょうか。

JAXAの受注を通してライダー衛星の宇宙実証を行ない,その後に民間のライダーとしてビジネスになるわけです。

―衛星を作るにあたってレーザー以外のコンポーネントはどうするのですか?

まず,スペースデブリ除去事業の方は,レーザーを含むミッションシステムのコンポーネントをペイロード機器として,5~6個ぐらいのコンポーネントをまとめてインテグレーションして販売するという形になります。衛星ライダー事業では,衛星全部を我々が手掛けます。

その中で特定の機能やコンポーネントについては協力会社さんに手伝ってもらいます。最終的には販売するデータを手に入れるのが目的なので,あまり高くなるとデータも高くなってしまいます。やはり安く作るというのがキーファクターになってきます。コストをかなり重視して詰めていく必要があります。

レーザーの開発は順調でしょうか

スペースデブリ除去事業用のレーザーは出力数十wクラスのレーザーをパルスで駆動します。太陽電池を電源として消費電力は200~300Wぐらいです。サイズは30~50cmくらいを目標にしていますが,まだBBMなので,コンパクトにできるかは次の課題ですね。宇宙レーザーだとすごく大きな筐体を想像する方もいるかと思いますが,やっぱり衛星に乗せなきゃいけないので,コンパクトにすることがとても大事です。

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