光とは(Ⅳ)

6. 幾何光学と波動光学

前節までに,光は波であるが,波長が短いためにその性質が現れにくいということを説明してきた。さまざまな光の性質を考える上で,このことを考慮して二つの見方がある。

6.1 幾何光学

光を光線の集合として考え,それらの光線が,光学系の中をどのように屈折あるいは反射するのかという視点から光を捉える学問を幾何光学と呼ぶ。光線とは,図1.15に示すように,ついたてに小さな穴を開けて,この光の波としての性質を無視して,次節で説明する光の直進性を考えて光の伝搬を扱う。

光線は,数学における直線と同じように,ビーム径は0と考える。ガスレーザーから出射した光や,半導体レーザーから出射した光を平行にしたビームなどは,この光線と考えることができる。しかし,日常生活において,このような光線の状態で光が伝搬することはほとんどなく,光は拡がった状態で伝搬する。これを光束(光線束)と呼び,光線の集合として考えることができる。

図1.15 光線と光束
図1.15 光線と光束

図1.15にある光源は点光源と呼び,光線と同じように大きさをもたない光源のことである。理想的な光の伝搬を考える場合には,この点光源と光線の考え方が重要である。

この幾何光学を利用して光線の伝搬を計算し,それらの道筋を求めることを光線追跡と呼ぶ。いろいろな方向へ伝搬する多数の光線を追跡すると,光束の状態を再現することができ,レンズやミラーなどの光学部品の特性がわかる。レンズを設計する場合には,光線追跡することにより,結像の様子がわかり,収差などを評価することができる。この連載では,実際に光線追跡を行いながら,幾何光学の観点から光の伝搬を考察する。

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