5. ガウシアンビーム
前号において,光線行列を使って,幾何学的な光線追跡ができることを説明した。このこと自体は,レーザーと直接関係のないことであるが,レーザー光がガウシアンビームであるために,この光線行列を使って波動光学的な光線追跡ができる。
5.6 ガウシアンビームの光線追跡
5.6.1 ビーム径とビーム拡がり半径
ガウシアンビームは,光線行列によって追跡することができる。詳細については省略するが,図7.34に示した,ガウシアンビームのビーム半径wとビーム拡がり半径Rは,光線行列の各要素A,B,C,Dと波長λによって,次のように書き表すことができる。
ここで,πは円周率,w0は,一つ前のビームウエストにおけるビーム半径である。ガウシアンビームは,常にビームウエストを作りながら伝搬するので,レーザーにおける一番初めのビームウエストは,レーザー出射端ということになる。この計算は,回折の影響が含まれているので,図7.39のように,ビームウエストを作りながら光が伝搬する様子を求めることができる。光線行列自体が,近軸光線に対して成り立つものなので,この計算も,近軸光線において成り立ち,収差によるビームの拡がりは考慮されないが,回折によるビームの拡がりは考慮されるわけである。
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