3. INFIQ®QDの光学・物理特性
量子ドット半導体のバンドギャップ(禁制帯)は,粒子径によってコントロールでき,長波長ほど,ナノ粒子が大きいことを表わしている。量子ドットの仕様は,通常,励起子吸収ピーク波長で示される。これは,吸収開始時よりもわずかに高いエネルギーで吸収が強くなる吸収ピークとして観察できる。このピークの幅は半値全幅(FWHM)で定義され,これが狭ければ狭いほど,ナノ粒子集合体が単分散であること,すなわち,ナノ粒子の粒子径が全てほぼ均一であることを表わしている。これは,平坦なエネルギー地形,狭いエネルギー分布,超格子の形成によって性能が向上するような用途では,極めて望ましい性質である。こうした点で,INFIQ® QDは,世界トップクラスの性能と,クラス最高の光学特性を備えている(図1)。
透過電子顕微鏡(TEM)を用いると,材料の形状や粒子径が均一であることが観察できる。TEM画像から,INFIQ® HP 1350 nm,1550 nmの量子ドットの直径が,それぞれ約4.9 nm,6.0 nmであることも分かる。また,個々の量子ドット内にはっきりと見られる結晶格子構造から,このナノ材料の結晶性の高さも観察できる(図2)。
これら量子ドットの粒子径を調整することにより吸収ピーク波長の調整をすることができる。表1にINFIQ®量子ドット製品を記載する。