設計特論7—ガウスビームの結像—

5.5 ガウスビームの特性

筆者の恩師である小倉磐夫先生は「エレクトロニクスの本質は増幅にあり,増幅作用のある技術こそが大きく成長する。自分がレーザの研究を始めたのもそれがきっかけであった」という主旨のことをおっしゃった。日本で初めてHeNeレーザの発振に成功された先生ならでは言葉として非常に印象に残っている。今日のレーザ技術の繁栄はアクティブ素子だからこそ開拓できた結果の賜物と言えよう。光学関係の展示会で,もしレーザ関係の分野が欠落したらどうなるかを考えただけでも,その影響力は十分に察しが付く。

日本はレーザの分野で初期はトップを走っていたはずなのだが,残念ながら特に固体レーザの時代に来て主導権を海外に奪われている状勢にある。経済安保で話題を集めている半導体も同じ状況にあり,科学と産業の発展させ方という点で共通の問題点がある気がする。

本稿はレーザそのものではなく,光学系に関する議論なので,レーザ光が通常の光とどこが異なるのかについて考察する。

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