設計特論5—照明系1—

5.4 照明系

光学設計というと一般には結像レンズを設計するというイメージがある。実際,光学設計者として自分の設計したレンズで予想通りの像が形成された時のうれしさを感じた方もいらっしゃるかもしれない。

実際に光学装置を作る段になると世の中には既存の結像系が数多く市販で存在し,買ってきて取り付ければ済む場合も多い。結像光学系はシステムとして閉じており,設計ソフトとともに収差図,MTF,スポットダイアグラムなど評価手段が充実している。従って,設計環境の整った課題となっている。

照明系はカメラのように外光を用いるので不要な場合もあれば,対象物に照明光を導くのさえ困難な場合もある。量産工場のコンベア上で運ばれる同一物を高速で観察する照明もあれば,物体の明るさや色が個別に大きく変わるものを観察する照明もある。半導体ウェハの検査では表面状態によって物体の見え方が大きく変化する。照明で最も苦労する項目の一つが基本である対象物体の明るさであったりする。

以上のように照明系の設計では状況が千差万別で個別対応を迫られる場合が多い。結像系は収差を補正する設計技術が要求されるが,照明系はシステム構成の腕を問われる。最大の課題は結像系の性能が発揮できる照明を行うことである。

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