5.2 平行平板の光学
平行平板は光学素子の出発点で,シールガラス,ビームスプリッタとしても用いられる最もポピュラーな部品である。本章では色々な側面から平行平板の作用を解析してみる。
5.2.1 平行平板と近軸値
屈折率n,厚みtの平行平板を光路中に入れた時,図2に示すように等価的な厚みがt/nになることは幾何光学の章で説明した。平行光束中に入れると影響はないが,収束あるいは発散光束中に入れた時の結像位置のずれ量Δは式⑴で示される。
物理光学的光路長ntは光路を計算するときの0次成分である。幾何光学は結像で扱う球面波相当の2次の項に対応するので次数が2つ異なり厚みはt/nとなる。メカニカルな制約に合わせて結像位置を変えたい場合は式⑴の効果を利用した平行平板の挿入で調整することができる。
平行平板は光軸方向で置く位置がずれても光線の入口と出口のずれ量が保存され,前後の空気中での角度も平行に保たれる。従って平行平板の位置は次の光学素子との間であれば任意の位置に置いて良い。
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