4. 収差
ここまで我々は結像が理想的に行われるとして話を進めてきた。しかし実際の光学系では点Aと点Bが結像関係にあると言っても,種々の誤差のためA点を出た光の総てがBを通るとは限らない。実際の光線の点Bからのずれを収差という。なお,本章では光軸を持ち光軸に関して回転対称性を持つ通常の光学系を対象とする。
点vs.点対応の結像で理想結像する系は幾つか知られているが,面vs.面で理想結像する系は知られていない。これは第2章2.5.3で述べた光学系が情報伝達容量としてLagrange-Helmholtzという制約を持つこととも関連している。
収差は光学系特有の議論である。電気系は時間軸と周波数軸というFourie変換の関係にある一対のパラメータで記述できる。一方,光学系では物体面,像面,瞳面がそれぞれX/Y(もしくはR/θ)の2つの独立パラメータを持っているため複雑なことが起こる。
収差論や光線追跡の手法は確立された理論で説明に膨大な紙数が必要とされる1)。しかし現在それらは市販ソフトに標準的に組み込まれている。本章では実用性の観点から収差論の導出より,ソフトや仕様書から得られる収差関連パラメータの紹介に重きを置いて説明を行う。
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