放送大学 梅干野晁 東京工業大学 押尾晴樹
1. はじめに
連載の第1回,第2回では,赤外線放射カメラで測定しているのは放射温度であり,表面温度を知りたい場合には,放射率補正と大気補正が必要となるということを理解して頂けたと思う。前回は放射に関する法則について解説したが,多くの教科書や参考書ではそのような放射の基礎理論で終わっている。しかし,赤外線環境計測となると,それだけでは不十分である。
今回は,放射の基礎理論を踏まえた上で,赤外線環境計測における計測上の原理・原則について解説する。はじめに,赤外線放射カメラはどのようなエネルギーを測定しているのかを示した上で,周囲からの放射の反射や大気の影響について詳しく説明する。さらに,カメラの感度波長帯によって熱画像が全く異なる例も紹介する。
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