非冷却遠赤外線カメラ市場の現状と今後のシナリオ

1. はじめに

軍需向けが中心の高額品という印象が強かった冷却型遠赤外線カメラであったが,室温で動作する非冷却タイプの遠赤外線アレイセンサーが登場したことにより,非冷却遠赤外線カメラの開発も進展。最近では,欧米自動車メーカーの高級車を中心にナイトビジョン(夜間時にも人物や動物の熱(赤外線放射エネルギー)を検知し画像表示する)用に非冷却遠赤外線カメラの搭載が促進されてきている。

また,欧州では自動車メーカーへの影響力が大きい欧州のEuro-NCAP(Euro-New Car Assessment Program:ポイント加算による保険優遇措置制度)にて非冷却遠赤外線カメラ搭載促進につながる内容が濃厚視されてきている。この車載での搭載加速を契機に,今後民間向けでの新たな商機が開けてくる。本稿では非冷却遠赤外線カメラの現状および今後の商機到来シナリオを検証する。

2. 非冷却遠赤外線カメラの各種定義

㈱テクノ・システム・リサーチ(TSR)では,非冷却遠赤外線カメラの波長領域を7.5〜15μmとし,熱検知画像を表示するサーマルカメラ,同じく熱検知ではあるが温度差を擬似カラー表示するサーモグラフィーカメラの二つに大別している。

表1 非冷却遠赤外線カメラ用途別定義
表1 非冷却遠赤外線カメラ用途別定義

また,民間向け市場のみに特化した調査・分析としていることから,用途分類に関しては,サーマルカメラに①車載(ナイトビジョンなど),②防災・セキュリティー(夜間の侵入者監視など),サーモグラフィーカメラに③保守・保全(建築診断,設備診断,FAなど),④医療(施設などでの発熱者検知など含む),⑤研究開発・試験と大きく5つに分類し,定義付けている(表1)。

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